あすれん 多頭飼い主の犬ブログ。 時々、西武ライオンズ。 たまにレビュー。

~ミニチュアダックス3匹&マルプー1匹の多頭飼い主が、埼玉西武ライオンズを応援しながら、クリエイティブする生活模様~

映画『蜜蜂と遠雷』感想

2019年10月4日公開
蜜蜂と遠雷

 

導入インプレッション

よくこんな映画を作れたなー!

この映画を見ていて、何度も感じた感想です。

 

本物のピアニストのようなオーラを放つ役者たち。

 

張り詰めたコンクールの雰囲気。

 

多彩なカメラワークで魅せる演奏シーン。

 

時折入る音楽を心象的に表現した演出。

 

この映画は決してエンターテイメント性が高いわけではありません。

万人には受けないかもしれない。

でも、アートとも言っても良いほどの表現力に満ちた映画です。

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見に行ったキッカケ

この映画のことは、映画館で流れていた予告映像で存在を知りました。

 

予告を見た時点で気になっており、時間を見つけて見に行こうと思っていました。

 

なぜ気になったのか。

それはピアニストの少年を描いた「四月は君は嘘」に似た物語だと思ったからです。

 

見たいのはピアニストの生き様

四月は君の嘘」といえば、ヒロインを巡るラストが印象に残っている人も多いでしょう。

 

僕はあの作品が好きで、漫画を何度も読み返しています。

その僕にとって、あれは悲しい恋の物語としてではなく、少年ピアニストの成長と生き様の物語として楽しんでいました。

 

蜜蜂と遠雷」に興味を持ったのも、「四月は君の嘘」と同じく主人公が母親を亡くした天才ピアニストで、ピアノから距離を置いている、という設定だったからです。

 

また、ピアニストが複数登場するという物語というのも、両方に共通している点です。

 

才能がある人間がそれぞれ、いかに苦境と向き合うのか、音楽をどう解釈して、どう人を魅了していくのか、その様を見たかったのです。

 

私のパーソナリティを補足

私はクラシック音楽を嗜んでいるわけでも、何か楽器をやったりしているわけでもありません。

 

むしろ、音痴で音感がなくて、普段から音楽を聞かないという音楽との接点が少ない人間です。

 

でも、こうしてブログを書いたり、絵を描いたりしています。それは、表現者になりたい気持ちは強いからです。

 

楽家というのは、自分が全く持っていない表現の引き出しの宝庫で、憧れともに興味を惹かれる対象でもあるのです。

 

そんなパーソナリティの人間の感想だと思ってご覧ください。

※また、原作も読んでいませんし、事前にホームページを見るなどして、前情報を入れるなどしていません。

 

 

本インプレッション

私が期待した通り、ピアニスト達のそれぞれの生き様を描いた作品でした。

 

正直、演奏の良し悪しはわかりません。すごいなぁしか感想は出てこないです。

 

この映画の良いのは、

4人の立場の異なるピアニストが出てくるところです。

 

かつて天才少女と呼ばれピアノから離れた主人公、完璧を求め続けられてきた幼馴染のコンクールの王子、サラリーマンでありながらピアニストの道を歩む男性、亡き著名ピアニストとから推薦を受けたピアノに純真な天才少年、立場の違うキャラクターを役者の皆さんが完璧に演じてくれています。

 

主人公の栄伝亜夜を演じるのは松岡茉優さん。CMやバラエティーの印象が強く、予告映像を見たときに一瞬誰かわからないくらいのいつもと違う雰囲気を出しています。

 

儚さと美しさだけでなく、音楽に対する純真さを時折見せる笑顔で感じさせてくれました。

 

演奏しているシーンで気になったのが、演奏中の仕草。松岡さんの演じる亜夜は天才と呼ばれる逸材です。だからなのか、演奏の序盤は鍵盤を見ないで弾くのです。

この演技は非常に印象に残っていて、音楽を譜面を見て奏でる人ではないのだな、というが伝わってきました。

細かいところですが、亜夜の持つ音楽観が垣間見える演技だと思います。

 

そして、もう一人の天才、風間塵を演じた鈴鹿央士さんがとても役にハマっていました。スタッフクレジットで新人と記載されていましたが、音楽のために生まれた純真無垢な天才というのをまさしく体現していました。

 

私が気に入ったのは、瞳の輝き。キラキラした瞳は、風間塵という人物が純粋なる天才であるというイメージをより植えつけ、役に説得力が出ていました。

 

松坂桃李さん演じる高島明石も、サラリーマンであり、家庭を持ち、いままで思ってきたコンクールに出場すふピアニスト像とはかけ離れています。

 

ただ、そこがいいのです。生活の中の音楽を追及する、それが明石さんの生き様。コンクールでは勝てない音楽かもしれないですが、音楽は万人が楽しむべきだという彼の意志の強さを感じる主張でした。

 

森崎ウィンさんのマサルは、完璧を求められるも自分の音楽道を切り開きたいという意志が見えます。

四月は君の嘘」でいうと相座くんみたいな王道を行く人物像ですね。

この人がいるからこそ、亜夜のような不安定に揺れるキャラクターを主人公にすることができたのだと思えました。

 

ポスターが表すもの

ポスターに描かれたのは4人のピアニスト。

演奏シーンでも、ピアノでもありません。

 

この映画は、4人のピアニストの生き様、音楽観を楽しむ映画だと思っています。

演奏シーンも迫力があってすごいです。でも、それ以上に4人の音楽に対する考えの違いが物語をより興味深くしています。

 

松岡さんや松坂さんのような人気のある役者で観客を呼び込むという意図もあるとは思います。

 

でも、私はこの映画はあの4人の生き様の違いを楽しむものだと思ったので、作品をよく表したポスターだと感じました。

 

 

タイトルが表すもの

これがよくわからずに、映画を見終えました。

おそらく、蜜蜂は風間塵を表していて、亜夜たちに新たな音楽への道をもたらした存在ということを表しているのだと解釈しています。

遠雷は亜夜のトラウマを表していているのだと思いますが、この二つを並べる意図が映画を見ただけだとわかりませんでした。

 

もしかしたら、意味なんかないのかもしれないですが、遠雷という言葉が蜜蜂との対比になっており、暖かい物語ではなく、物悲しくも怖い雰囲気を感じさせます。

 

最後に

冒頭に書いたとおり、これはエンターテイメント映画ではないです。

そういう意味では、興業収入が稼げるような映画ではないでしょう。

 

でも、こういう映画が作られることは映画の質が上がるので、とても大事なことだと思います。

 

こういう映画をもっと作ってもらいたい、そう思わせてくれる品質です。

ピアニストの生き様、音楽の演出、エンターテイメント映画では味わえない、豊かな演出表現で非日常を感じたい方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

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